事業内容
世界的シンバルメーカーであるZildjian(ジルジャン)様の電子ドラムは、シンバルに無数の穴を開けることで、アコースティックドラムに近いリアルな打感で、大きな音を鳴らすことがなく静かにご自宅等で演奏することができるという特徴があります。弊社ではこのたび、電子ドラムの打撃を検知しドラム音を再生する音響機器である音源モジュールの組み立てを受託いたしました。
高さ:78.9mm 幅:300mm 奥行:166mm
重量:2.19kg
製品3Dデータからの工程設計、手順書・チェックリストの作成、治具の設計・製作、生産管理、部材受入確認、組立・配線、通電動作検査、梱包、出荷管理、アップデート対応、修理、解析
1ロットあたり200~500台の生産数量で、間欠生産での対応をご要望いただきました。
大量の商品を安定した品質で製造するためには、製品設計の段階で、組み立てやすさを考慮した製品であるか、また組み立てやすい組立方法であるかを検証することが重要です。
弊社ではこのたび、お客様に試作機をご提供いただくことで一から組立方法を検証し、組み立てが難しい点を解決する方法についてご提案しました。
例えば、筐体のトップとボトムのパーツを組み立てる前に、先に配線を接続する必要がありますが、配線の長さに限りがあり、そのままでは配線作業が難しい状況でした。
そこで、弊社にて上下のパーツに対応する受け治具を製作することで、配線作業を安定的にできるようにしました。
量産試作から携わらせていただくことで、より品質を安定させながら、効率的に製造できる方法を模索し、お客様と二人三脚でより良い組立方法を確立しました。
大手メーカー様の精密機器等を製造した経験から、外観基準、トルク基準等の必要とされる品質基準をご提案しました。品質基準は、各部品の目的から必要とされる機能が満たせているかを考慮する必要があります。例えば、筐体の場合「内部に収納する機器を保護する」という目的に対し、締め付けトルクに問題がないか、接合後に隙間がないかといった確認が必要になります。弊社からご提案することで、お客様が求める品質基準をすばやくキャッチアップできるよう心がけました。
また、生産開始後も、経験豊富な製造スタッフが対応することにより、小さな違和感を感知し、問題がありそうな場合は、都度撮影しご報告しております。品質基準について細かなすり合わせを実施することで、お客様のブランドに見合う品質の製品を製造できるよう取り組んでおります。
筐体の傷を防止するため、工程ごとに組み立て用の治工具を自社で製作しました。例えば、本製品は筐体内部の裏面から複数のボタン類を筐体に組み込む必要がありますが、机上でそのまま組み立てると安定せず、ネジを締めることが困難です。ボタン類を包み込むような専用の受け治具を製作することで、安定してネジ締め作業ができるようにしました。
このように、工程に合った受け治具を製作することで、組み立てやすさ、傷の防止、作業性向上、品質の安定に役立てています。弊社では必要な治工具を自社で製作できるため、より迅速な対応が可能です。
従来の製品別に専用の量産ラインを作り、専任スタッフを配置する運用では、お客様のご要望に応じた変量生産に対応することが困難です。そのため、弊社ではスタッフの配置を柔軟に調整できるよう、作業の標準化および多能工化を推進しております。
日頃からいくつもの製品を組み立てられるよう多能工化教育に取り組み、さらに他部署を含めた柔軟な工数調整を実施しました。
精密機器の組立実績が豊富と伺っていた事に相違はなく、弊社製品に対する品質における勘所の理解・品質基準の意識合わせにおいて非常に円滑かつ迅速でした。
「ここは品質を出したい」というポイントに対し、弊社要求品質を理解して品質をつくり出そうと取り組んで頂いた姿、また良否の判定基準のご理解が早いため、どのフェーズでもスケジュールを短縮することができ、時間・経費を大幅に節約できました。
また、弊社開発設計の終盤段階から設計の一部にも参画していただき、組立や分解のしやすさといった観点から設計上の改良可能な箇所を予め洗い出し、量産開始後に設計へ手戻りがないようにご協力・対応いただきました。
製造技術・エ程設計のスキルを持っているからこそ、このような活動が出来ました。
「ささいなことでも、なんでも言ってください」と話してくれる姿勢が本当にありがたかったです。
このような信頼関係がモノづくりの礎となっていると感じました。